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これより再生されるのは、 今から少し前に交わされた物語である。 |
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結局見つからなかったんだな。 一つの天幕の中で、茶髪の男が誰かに向かってそう言う。 その表情や声に悲しさや悔しさというものは見えず、単に確認といった風である。 |
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男の問いに、視線からはややズレた位置にいる金髪の男が答える。 ええ。こればかりはどうしようもないでしょう。 誰かに盗まれたと考えるのが自然かと。 元々チシミアさんを入れるつもりは無かったので その点で影響は無いのですが。 |
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そうか。 記憶も腕も戻ったんだ。武器も次の巡りになれば戻るだろう。 返答を受けた男はあいも変わらず淡々とそう返す。 |
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その発言を聞き、バンダナを付けた女が声を上げる。 ちょ、ちょっと待ってよ! 次の巡りまでこのままなの!? 声を荒げてはいるが、怒りというより焦りから来るものの様である。 |
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無いなら仕方ないんじゃないのか。 取り乱す女を前に、茶髪の男は眉ひとつ動かさない。 |
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表情を変えない男に対し女は焦りの色を強めていく。 し、仕方ないって、私丸腰なんですよ!? 誰か来たらどう対処したら良いんですか! どうやら、無くなったのはこの女の武器らしい。 |
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何も丸腰で居ろとは言っていませんよ。 多少勝手は違うでしょうが、この世界の武器を買えば良いでしょう。 それともお金が足りませんか? |
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口論になり掛けた雰囲気に沈黙していた目つきの悪い男が口を挟む。 お前ら簡単に言うけどな。同じ武器1つとっても扱いは雲泥の差なんだぞ。 長さや重さの微妙な変化で遅れを取ったらどうなるか いくらお前らでも想像出来ない訳じゃないだろう。 |
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……成る程。確かにそれは致命的ですね。失言でした。 散々武器を壊しては 使いこなしてる貴方に言われても説得力がありませんが。 |
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そうなのか。 |
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バンダナの女は自分を庇うようなやり取りに目を丸くしていたが ムスッとした顔に戻る。 ……カパッサさんやラックは例外なんですよ。 私は一般人なんですからそんな器用に適応出来ないです。 やっぱりもう一度確認してきます。 そう言い立ち上がると、天幕から足早に出ていく。 |
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女の様子を目で追っていた黄色い帽子の男は 相手の姿が消えると浮かぬ顔で地面を見つめた。 ……暫くは私の荷物でも持ってもらいますかね。 |
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沈む男を見てそれまで静観していたローブの女が口を開く。 私が魔力を失っていたのと同じだわ。 あの子にとっては掛け替えの無い相棒なのだから、 代替のものは無いと思って接して頂戴。 その言葉は何処か弱々しく、怒りからくるものでは無さそうである。 |
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ローブの女に続き、 視線をせわしなく動かしながら話を聞いていた少女も口を開いた。 一緒に探し、ます。 そう言いながら立ち上がり、天幕の外へと駆け出す。 |
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少女が出て行ったのを確認した目つきの悪い男は 黄色い帽子の男に向かってしかめっ面を向けた。 知らなくて当然だが、お前が来る前にも武器が無くなった事があった。 こいつは忘れてるだろうが、相当な騒ぎっぷりだったぞ。 あいつの精神的な動揺を甘く見ない方がお前の為だろうな。 |
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その発言を聞き、茶髪の男が反応を返す。 ああ、そんな事もあったな。 結局宿にあったんだったか。 |
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そうですか。ご忠告ありがとうございます。 そうですね……。 黄色い帽子の男は暗い表情で申し訳程度の返答をしながら思案するが 何を思いつくでもなく再び沈黙がその場を包む。 |
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その様子を見かねてか、ローブの女が再び沈黙を破る。 とりあえず確認事項の話は終わったのだから、 部隊の登録をしに行くべきなんじゃないかしら。 用がないのならもう戻るわ。 |
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そうだな。俺が行けばいいか? |
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ええ。そうですね。 問いに答える男は相手に視線を向けたかと思えばすぐ目をそらし、 未だ動揺しているのが伺える。 |
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チッ。戦場に出るまでにその面元に戻しておけよ。 お前のお守りをするのはもう面倒だからな。 目つきの悪い男は大層機嫌が悪そうに舌打ちをしながら 弓を肩に担いででていった。 |
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男に続き、ローブの女も言葉無く静かに天幕を後にする。 |
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黄色い帽子の男と取り残された茶髪の男は立ち上がり 相手に顔を向けながら声を投げかける。 問題無いなら俺も行くが、大丈夫か。 あいも変わらずその表情は真顔である。 |
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確認を受けた男は今度は視線も合わせず 口元を多いながら更に曇った顔を浮かべる。 ええ……。少々一人にさせていただけると有難いです。 |
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そうか。何かあったら言ってくれ。 俺たちもそうだが、お前も一人じゃないからな。 返答を聞いた男は特に心配そうな風もなく淡々とそう言う。 |
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相手の感情のない励ましを聞いた男は 溢れるように僅かな笑みを見せると相手に視線を合わせる。 ……ええ。ええ。承知しておりますよ。 今度こそ本当の意味で。頼りにさせていただきますよ。ラック。 |
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返事を聞いた茶髪の男が天幕を去ると一人男が残されたが その表情はもう暗くはなく、静かに天幕の入り口を見つめた後 また視線を動かしながら思案するのであった。 |
| 反映会話:釣り | |
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陽が傾いて少しした頃、天幕の外にローブを来た1人の女の姿が見える。 女は布が敷かれた地面に腰を下ろして本を読んでおり 辺りは静けさに包まれている。 |
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そこへ剣と木箱の様な物を抱えた茶髪の男がやって来ると 元居た女に声を掛ける。 今戻った。クラリエントは居るか。 |
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茶髪の男は相手の顔に動じる事もなく問いに答える。 ああ、途中でちょっと格闘したからな。服にでも付いたんだろう。 これをどうすればいいか聞きたいんだが、お前は知ってるか。 箱の中身の説明もなく淡々とそう言う。 |
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ローブの女はズレた返答をする男に言及する事は無く 一瞬間を開けてから口を開く。 釣りをしてきたのね。良いわ。氷漬けにしてあげる。 クラリエントは用事があって出ているから戻って来たら聞くのね。 |
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そうか。そう言えば前もカパッサが釣って来た時そうしてたな。 俺が箱を開ければ良いのか? |
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そのまま箱ごとやるわ。 貴方は替えが有るのなら着替えてきて頂戴。 |
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ああ、分かった。探して来よう。 そう言い木箱を女の近くに置くと端の天幕に消えて行った。 |
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女は男が消えてからもしばらく怪訝な顔で天幕を見つめると 面倒くさそうに立ち上がり木箱に向き合うのであった。 |
| 反映会話:挨拶来客 | |
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天幕の外に剣を携えた茶髪の男が佇んでいる。 男は何をするでもなく周囲を眺めており、どうやら見張りをしている様である。 日は丁度落ちかけており、周囲が夕陽に染まっている。 |
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そこに目つきの悪い1人の男がゆっくりとした足取りで近づいてくる。 手には弓の他に小さな麻袋が見え、何処かの帰りの様だ。 |
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見張りをしていた男はやってきた相手に気づくと声を掛ける。 ああ、戻ったか。来客が来てたぞ。 |
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……客?俺にか。 声掛けを受けた男は眉をひそめそう返す。 表情こそ怪訝なものの、その声色は寝耳に水と言った風である。 |
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ああ。いつも菓子をくれる帝国の……。 そう言い、相手の目を見つめたまま言葉を詰まらせる。 ……名前は何だったか。 |
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雪冰か。それとも他化か? 少ない情報で合点がいったらしく複数の名を挙げる。 俺目当てに来てる訳でも無いだろうが、 それにしてもお前は人の覚えが悪いな。 |
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ああ。悪いな。 どうにも直らないらしい。 そう言いながらも男は真顔で淡々と話し、悪びれている様子は伺えない。 |
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別に謝る事でも無いだろう。 ……尤も、お前はその重要性も分かって無さそうだが。 |
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いや、名前を呼べないのは不便だろう。 お前だのあんただの呼んでばかりじゃ失礼だしな。 そう言えばお前もあまり人の名前を呼ばないな。 |
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言っておくが、俺は下手な馴れ合いをしたくないだけで 相手の名を覚えてない訳じゃないからな。 なんならお前に記憶力を分けてやりたい位だ。 |
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そうなのか。それはそれで大変そうだな。 男は嫌味を言う相手に相も変わらず淡々とした口調で返す。 ああ。饅頭を貰ったからお前も好きな時に食べると良い。 |
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饅頭か。 中はもう全員揃ってるのか。 |
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ああ。お前で最後だな。 頃合いを見て交代して貰えると助かる。 |
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目つきの悪い男は相手の返答を聞き 何かに感づいたのか再び眉をひそめる。 ……ちょっと待て。お前俺が出る前も見張りをしていたが、 まさかそのままずっとここに居たんじゃ無いだろうな。 |
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ああ。今日は外に行くやつが多かったからな。 昼頃からずっとここに居る。 さらっとそう答え、特に問題に思っている様子も無い。 流石に用を足したりはしたんだが。 |
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チッ。クラリエントはこいつの何を見てたんだ。 男は表情を一層曇らせると忌々し気に舌打ちをした。 俺が今代わる。 お前、前に1度倒れた事を忘れたとは言わせないぞ。 |
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……ああ。そんな事もあったな。 今回は大丈夫だと思うんだが。 |
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お前の大丈夫は当てにならない。 良いから代われ。外に出払って来た俺の方がまだマシだ。 |
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そうか。悪いな。 クラリエントに伝えて来る。 そう言い、男は真ん中の天幕へと姿を消す。 |
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……チッ。 目つきの悪い男は相手が消えると一つ舌打ちをして、 既に暗くなった辺りに目を凝らし地面に弓を置きながら腰を降ろすと 持っていた袋を開けながら時間を過ごすのであった。 |
| 反映会話:身体測定 | |
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1つの天幕で、いくつかの紙を前に思案する男の姿がある。 紙には何やら文字が羅列されており、 そのうちの1つには記入欄らしき枠が無数に見える。 |
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そこへ同じ天幕の反対側に居た女が近寄って来ると 背後から訝しげに紙を見つめ声を掛ける。 さっきから何してるんですかコレ。 |
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声を掛けられた男は相手を一瞥する事もなく返事をする。 少々お手伝いの依頼といった所でしょうか。 特にゆかりのある所からのものでは無いですが、 面白そうな内容ですので引き受けてみても良いかと。 |
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男の返答を聞き、女は眉をひそめたまま別の疑問を投げかける。 それ、私達も関係有ります? |
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不機嫌そうな声色に男は相手の顔を確認すると にこやかな表情で問いに答える。 まあ、無くもないですが。 段取りは私がやりますので簡単な事だけですよ。 そう大人数でやる事でも無いでしょうから、嫌なら良いですし。 |
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アナタの簡単は当てになりません。 ちょっとそれ見せてください。 女はむっとした様子で男の隣に座ると 男に向かって手を差し出して紙を渡す様に要求する。 |
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ええ、どうぞ目を通してください。 その方が私も助かります。 男は特に渋る様子も無く手に持っていた1つの紙を渡す。 |
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女は紙を吟味する様にじっと読み進めると 段々と顔色を変え、中段付近で笑みを見せる。 えっ、これタダで高い機材が使えるって事ですか? 搬送とかも向こうでやってくれるみたいだし……。報酬はあんまりだけど。 面倒な事はクラリエントさんがやってくれるんですよね? 先ほどとは一転して見事なまでの手のひら返しを見せる。 |
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女の反応を見て黄色い帽子の男はニヤリと口角を上げると すかさず説明をし始める。 ええ。面倒事は全て私が引き受けますので チシミアさんは用紙を受け取ったり 困っている方や分からない方に声を掛けて頂ければ十分です。 壊しさえしなければ、機材を色々見て回ったり試してみるのも良いかと。 |
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何だ、本当に簡単じゃないですか。 傭兵活動は久しぶりですし、 新しい人たちに顔を広めるのも良いかもしれないですね。 私で良ければいつでも言ってください。 |
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ええ、ええ、助かりますよ。女性というのもそうですが、 うちの部隊で人当たりの良いやりとりができるのは貴女だけですからね。 都合の良い時間だけ来てもらっても構いませんし、 また詳しい日取りが決まったら改めてお伝えしますよ。 |
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楽しみにする程の事かは分かりませんが、 積極的に考えてくださるのは有難いですね。 にこやかな表情のままそう言うと、何かを思い出した風に言葉を続ける。 ああ、そう言えば先ほどサマロさんが 貴女に何か伝えたい様子でしたが会われましたか? |
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えっ、サマロがですか? もしかしてアレの事? ちょっと聞いて来ますね。ありがとうございます。 礼を言うと、そのまま立ち上がり天幕の外へ出て行った。 |
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男は女が出て行ったのを確認すると 広げていた紙を丁寧に纏め片付け始める。 ……さて。これは隠しておかなければなりませんね。 聞こえるか聞こえないかという声でそう呟いた事を 出て行った女は知る由もなかった。 |
| 反映会話:タロット占い | |
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一つの天幕で、荷物を整理する女の姿がある。 中央からやや離れる所で入り口を背に向け作業する女は テキパキと手を動かし、何処か楽しげに見えなくもない。 |
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そこへ茶髪の男が入り口から姿を現わすと 一直線に女の元に向かいながら声を掛ける。 チシミア。今話しかけても平気か。 真顔で淡々とそう発言する様は、真剣に見えなくもない。 |
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男の発言に女は振り返りながらも手は止めずに反応する。 ああ。ラックじゃない。 どうかしたの? |
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返答を受けた男は立った状態で女を見下ろしながら 表情を変えずに言葉を続ける。 あまり良くない知らせを受けた。 忘れないうちに伝えておきたい。 |
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……え、真面目な話ですか? 不穏な言葉に女は手を止め怪訝な表情を浮かべる。 |
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真面目かどうかは分からないが、嘘ではないな。 男は相手の疑問に答えるも、 質問の意図を理解していないのか曖昧な反応を返す。 |
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きょとんとする相手に女は呆れた表情を見せる。 そう言う意味じゃなくて……はあ、いいです。 あまり重要そうじゃない事だって言うのはわかりました。 手っ取り早く用件を言ってください。 |
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武器の事なんだが。重要じゃないのか? 微妙に首を傾げながら真顔で不思議そうにそう聞く。 |
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えっ、武器!? もしかして見つかったとか……。 バンダナの女は男の発言に声をあげ反応したが 続く言葉は尻すぼみになり途中で途絶えた。 いや、見つかったならそう言うわよね。アンタなら。 ……ていうか待って、良くない知らせって言わなかった? そう言う表情はだんだんと険しくなっていく。 |
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ああ。タロット占いをしてる奴に占ってもらったんだが、 見つけるのはかなり難しいらしい。 女にとっては重要であろう用件を男はさらっとそう言ってのける。 1人で悩むのはいけないとか……何だったか。 詳しくは覚えていないらしい。 |
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全然覚えてないんじゃない! それだったら聞かない方がマシよ! 女はきょとんとする相手に至極当然のことをそれは全力で突っ込んだ。 ていうか占いしてる奴ってそれを生業か何かにしてる人なわけ? |
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声を荒げる相手に眉一つ動かさず男はまた首を傾げる。 いや? 趣味程度とか言ってたな。 謙遜かもしれないが、職にはしてないだろう。 |
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益々当てにならないじゃない! はあもう、折角忘れかけてたのにまた武器の事思い出しちゃったじゃない。 っていうか何でそこは覚えてるのよ。 |
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何だ、忘れてたのか? それは悪かった。 謝罪をする男の声色は全く悪びれている様には聞こえない。 |
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私だってそんな楽観的に戻って来るなんて……そうなったらいいなとは思ってるけど。 もうちゃんと新しいの買って練習だってしてますし、 くよくよしないように頑張ってるんですから! |
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そうだったのか。 相当落ち込んでいる風に見えたからな。 諦めてないのかと思ったんだが、気にしてないのなら俺も忘れよう。 |
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本当に綺麗さっぱり忘れそうで怖いんだけど。 言っときますけど執着しないだけで重要なのは変わらないんだから 手がかりがあったらちゃんと教えてくださいよね。 |
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分かった。何かあったら伝える。 |
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……はあ。 用件がそれだけならもう荷物整理しても良いですか。 女は大層疲れた様子で男に確認をする。 |
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ああ。俺も天幕に戻る。 何かあったら言ってくれ。 そう言い、男は返事も待たずにそそくさと天幕の外へ出て行った |
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女は暫し男が出て行った入口を見つめた後大きな溜息をつくと 気持ちを切り替える様に頬を叩き再び荷物整理へと勤しむのであった。 |
| 反映会話:挨拶来客 | |
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1つの天幕の中でローブの女が中央付近に座っている。 手には分厚い本があり、読書をしている様だが その表情は特に変化が無く、ページをめくる手も早い。 |
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そこに1人の少女がゆっくりと入って来ると 入口付近でそのまま立ち止まった。 タマゴの入ったカゴを大事そうに抱えており、神妙な顔をカゴに向けている。 |
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ローブの女は入って来た少女に目を向けると本をめくっていた手を止め じっとタマゴを見つめ続ける少女に眉をひそめた。 どうしたの。サマロ。 |
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……ぬ。 少女は声を掛けられ神妙の顔のまま相手の目を見つめ口を開くと 説明する気が無いのか混乱しているのか謎の言葉を返した。 |
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何の説明もされない状況にローブの女は一層怪訝な顔をする。 よく分からないのだけど。 そのタマゴは貰ったのかしら。 顔は顰めているものの怒っているようでは無さそうである。 |
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外に。……置いてありました。 たぶん……。貰いました。 謎の言葉は脱したもののその発言は歯切れが悪く要領を得ない。 |
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ローブの女は途切れ途切れの説明に特に不快そうな顔をする事もなく 少女との対話を続ける。 そう。相手を見ていないのね。 タマゴは悪くなるのが早いわ。クラリエントに確認してから手をつけて頂戴。 |
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分かり、ました。 ……聞いて来ます。 少女は何度も頷きながら返答すると カゴを抱えたままその場でくるりと回って天幕の外へ出て行った。 |
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ローブの女は少女が出て行ったのを確認すると また視線を本へと降ろし静かに読書を再開するのだった。 |
| 期初め会話:恋の詮索 | |
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一つの天幕に、ローブを来た女の姿がある。 女は手にした小ぶりなバンをかじり、食事中の様で 地面を見つめながら何かを思案しているように見える。 |
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そこにバンダナを付けた女がやってくると 何を言うでも無く元居た女の背後へと腰を下ろし、 手に持っていた麻の袋を開け始めた。 |
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ローブの女はバンダナの女の気配に感づくと しばし相手の様子を伺ってから声を掛ける。 ねえ、一つ言っておきたい事があるのだけれど。 |
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声を掛けられた女は驚きながら相手へと顔を向ける。 えっ? 私にですか? 良いですけど、珍しいですね。 特に怪しむ様子はなく、純粋に新鮮に感じているようである。 |
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思い当たる節の無さそうな相手に、ローブの女はパンを食べる手を止め 目を細めながらやや冷たく言葉を放つ。 貴女、サマロにカパッサへの想いを気付かせようとしているでしょう。 今はまだ良いけれど、むやみやたらに搔き乱すのは止めるべきだわ。 |
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相手の言葉を聞き、バンダナの女はすかさず反応を返す。 むっ。むやみやたらってそんな捲し立てて無いですよ。 ちょっとヒントを与えてるだけじゃないですか。 異論を唱えつつも、行ったことについて否定する気はない様で 興奮しているのか開けかけていた袋は右手で力いっぱい握りしめられている。 |
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その解釈については意見を合わせる気はないけれど、 あの子もバカじゃないのだからそろそろ自ずと気づく頃でしょう。 貴女もヒマでは無いのだから、これ以上はやめて頂戴。 |
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バッ……。 喧嘩腰の相手にバンダナの女は咄嗟に言いかけた言葉を飲み込み、 握りしめていた袋を床に置くと相手に向かい合う様に座り直す。 やたら噛みついて来ますけど、何が問題なんですか? 気付いた所でカパッサさんも邪険にするとは思えませんし。 |
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姿勢を正す相手をよそにローブの女は座り直す事は無く 斜めの角度から顔だけを向け話を続ける。 貴女、男関係で冒険者に成り下がったのだから恋をした事はあるんでしょう。 決して楽しいだけのものでは無かったはずだわ。 どの道あの2人の関係が変わる見込みは無いのだから、 今手を入れた所で得られるのは自己満足だけよ。 |
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刺々しい言葉の連続にバンダナの女はむっとした表情を見せる。 私のしてる事が意味無いって言うんですか? 確かに恋は辛い時もありますけど、楽しい事の方が多いですし 何より変わらないかどうかは分からないじゃ無いですか。 |
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ローブの女は相手の返答を受け怒りから呆れへと顔色を変える。 私より長く一緒に居て、何も分かってないのね。 あの子を救った時も一緒に居たのでしょう。 もう少し頭を使わないと後悔するのは貴女の方になるわよ。 何かを明確に思い浮かべながらも、それを説明をする気は無いようで やや間を開け次の言葉を紡ぎ出す。 考えるのなら、貴女自身の恋にするのね。 |
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忠告に対し言葉を返せずに視線を彷徨わせていたバンダナの女は 最後の言葉を聞き弾かれたように顔を上げる。 ちょ、私自身の恋って何ですか。 私今恋なんてしてないですよ。 照れる様子も無く、本当に思い当たる節が無いようである。 |
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さあ。それは自分の胸に聞いてみる事ね。 ローブの女は意味ありげにそう呟くと たべかけのパンを持って立ち上がり、そのまま外へと出ていく。 |
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えっ、ちょシリールさん!? 冗談ですよね!? ねえ! しきりに叫ぶも相手が戻ってくる事は無い。 え、ええ……? 話を逸らす為の嘘……? あの2人の関係って言われても……。 |
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1人残された女は自分のやる事も忘れ 暫くの間難しい顔をしながらその場で考え続けるのであった。 |
| 反映会話:イラスト&ビルド変更 (ラック:発動阻害/好調) | |
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青空の下、並んだ小さな天幕の傍で一人の男が誰かに向かって口を開く。 呼んでたと言われて来たんだが、 俺に何か用があるのか? 疑問を投げかけつつもその表情は真顔である。 |
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その声に対し、杖を持ったローブの女が答えを返す。 前に言ったエンチャントの準備が整ったから試させて頂戴。 動作確認は済んでいるけど、解くまでの力は無いから 一度やったら失敗しても次の巡りまで解けないのだけれど。 |
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その時は剣を替えれば良いだけだろう。 男はさらっとそう言い、自分の獲物を構えて見せる。 剣をどうすればいいんだ? |
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何の抵抗も見せず従う男に対し、ローブの女は目を細める。 無駄な問答が無いのは助かるのだけれど、 失敗した時の判断の為にもう少し説明をさせて頂戴。 貴方だと暴発しても納得されそうで困るわ。 |
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そうか。それなら頼む。 男はやや失礼ともとれる女の予想を否定せず真顔のまま剣を下ろす。 |
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ローブの女は少し間を置いてから説明を始める。 ……そうね。まず貴方を選んだ理由だけれど、 誘いを断わらない事と順応性の高さ以外に 属性上都合が良いというのがあるわ。 正直カパッサでも良かったのだけれど、私の力量の問題で貴方にしたわ。 |
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属性か。俺は簡単な属性なのか? |
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前の世界ではどうだか知らないけれど、 この世界では基本的に6つの属性が有るの。 魔力が戻ってハッキリ分かったわ。私と貴方は同じ水属性。 属性が同じ方が魔力の浸透率が良いから、今回付与するのは水の力よ。 |
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水か……。 属性を聞き、男は実感があるのか無いのかそう呟く。 初耳だが、今まで伝えてなかったのには理由があるのか? |
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必要で無かったから言わなかっただけよ。 有利不利はあるのだけれど、この世界では些末な問題だわ。 女は疑問に対し淡々とそう返すと杖を相手の方へと構える。 説明も終わった事だし、早速始めさせてもらうわ。剣を構えて頂戴。 |
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分かった。宜しく頼む。 男は言われるがままに剣を両手で相手に向け構えた。 |
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ローブの女は杖に力を込めながらじっと相手の剣を見つめる。 小さな声で何かを唱えてはいるが、詳細は定かではない。 |
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…―ッ! 数十秒の後詠唱の終わりを告げる様に女が何かを叫ぶと 相手の剣の周囲が一瞬仄かに光った。 |
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終始微動だにせず剣を構えていた男は その様子に特に表情を変える事もなく口を開く。 終わったのか。 |
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ええ。そのはずよ。 きちんと出来たかは分からないから、試しに剣を振って見て頂戴。 女は杖を下ろしながら男から距離をとりつつそう言う。 |
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振るだけでいいのか。 ……こうか? そう言い、男は誰もいない空間めがけて大きく素振りをする。 |
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男が振るった剣の軌道に合わせ水が勢いよく放出されると そのまま飛散する様に弾けて消えた。 |
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水が出るのか。 これは成功で良いんだな? そう言う男の口元には僅かに笑みが浮かべられている。 |
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! 貴方……! 剣の動作を真剣に見ていた女は男の声に視線を向け その表情にハッと目を見開く。 |
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男は女の様子に首を傾げる。 どうかしたのか? もしかして失敗だったのか。 その顔にはもう浮かべていた笑みは無い。 |
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ローブの女は不思議そうな相手に表情を戻しやや間を開けてから口を開く。 ……何でも無いわ。 見かけは水が出ているだけだけれど、 それ以外にも有利な効果を付けておいたわ。 どれがどの程度効くか分からないから言わないでおくけれど。 |
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そうか。それは助かるな。 これは無限に出るのか? そう言い、剣を何度か振って見せる。 |
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貴方に魔力があれば可能なのだけど、 現状私の魔力で補っているから使い続けると枯渇するわ。 定期的に力は足すけれど、怪我をした時も使えないと思って頂戴。 貴方には不要な忠告だと思うけれど、あまり過信しない事ね。 |
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そうか。分かった。 魔力を足すのはまたさっきみたいにすれば良いのか? |
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もう付加自体は済んでいるから、私が触れるだけでいいわ。 大して過酷な戦闘もしていないのだし、 日に一度触れておけば十分でしょう。 |
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そうか。 お前は魔力を渡して疲れたりはしないのか? |
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一時的な効果の分だけだから問題無いわ。 また何か使って見て支障があったら言って頂戴。 |
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分かった。 これで終わりなら俺は一度天幕に戻るがいいか。 |
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ええ。構わないわ。 |
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ローブの女は相手が去って行った方へ視線を向け 暫し何かを考える様にその場に立ち尽くすのであった。 |
| 反映会話:おまじないの本 | |
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夕刻。3つ並ぶ天幕の外に一人の男の姿がある。 男は地面に座り並べた矢を確認していたが しばらくすると作業が終わったのか矢筒へ丁寧にしまい始めた。 |
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そこへ一人の少女が何かを抱えながら現れると 天幕の外にいる男を見て身体をビクっとさせ急停止し、 慌てる様に持っていたものを背中に隠した。 |
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作業をしていた男は少女に気づき声を掛ける。 ああ、サマロか。 良い時間に帰って来たな。迷わず行けたか。 |
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声を掛けられた少女は尚もその場から動かずやや遅れて返答を返す。 あ、えっと。大丈夫、でした。 そう言いながらも視線は彷徨い、完全に挙動不審である。 |
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相手の反応に何かを感じ取った男は表情を険しくすると 矢筒を置いたまま立ち上がる。 ……何だ、何かあったのか。 |
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立ち上がった男に少女は更に身体を強張らせるも 動揺のせいかその場から一歩も動こうとはしない。 何も無い……ので。 相手から目を逸らし、語気も明らかに弱々しい。 |
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視線を逸らす少女を見て更に不安の色を強めた男は ずんずんと少女に迫って行く。 おいサマロ。俺の目を見ろ。 何かされたなら言え。生かしておけない。 物騒な言葉を吐くその声は、怒りなのか怯えなのか震えている様に聞こえる。 |
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あっ……! え、その。 少女は男の反応にハッと顔を上げるもろくな言葉は返さず 声にならない声を出しながら身体ごと右や左へ動かし極度の動揺を見せる。 |
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相手へと距離を詰めようやく彼女が何かを背に隠している事に気が付くと 男は一転して安堵した様に顔色を元に戻した。 ああ。……それのせいか。 |
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少女はその一言に、弾かれる様に顔を上げ耳をつんざくような声を出す。 っ! だめ──! |
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その声と同時に天幕の方からパァンと何かが破裂したような音がした。 っ!? 男が振り向くと、遠くから見ても分かる程に 矢筒の上部が矢と共に破損している。 |
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あ……っ。 あっ……! 少女はその光景に顔を青ざめると隠していた物も落とし、 わなわなと震えた手を胸の前で握りしめ涙を流す。 カ、カパ……。ッサ……。 |
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男は少女の呼びかけに反応する事もせず 驚いた表情で矢筒を暫し見つめると、天幕の方へ視線を向けたまま口を開く。 もう暴発する事は無いと思っていたが……。 二の句が継げぬ様子の男は怒っている風では無く、 矢筒が壊れた事自体よりも起こった現象に衝撃を受けている様である。 |
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あ、あぁあ……! 言葉を失う男とは対照的に少女は悲痛な声をあげながら ボロボロと流れる大粒の涙を止める事もせずその場にしゃがみ込んだ。 |
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そこに天幕の中から慌てた様子で女が武器を構えて出てくる。 ちょ、一体何があっ──ええっ!? えっ、ちょ、コレどういう事ですか!? 敵襲!? 入口付近で悲惨な状態になっている矢筒を目にし、 周囲と離れた位置に立つ少女達を交互に見やる。 |
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男は混乱する女に視線を向けると元の顔付に戻り、 その場から声を投げかける。 おいチシミア!こっちに来い! あと敵は居ないからその武器は降ろせ。 |
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女は声掛けを受けるも混乱は収まらずその場で右往左往する。 えっ!? いや、ええ!? 敵がいないのに何でそっちに……あ、暴走したんですか!? ようやく事態が飲み込めた様子の女は武器をしまいながら 男たちの元へと駆け寄って来る。 |
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男は女が向かってくるのを確認すると しゃがみ込む少女の前に膝立ちで視線を合わせ、 俯いて顔を見せない相手の頭に手を乗せてから口を開く。 悪かったな。サマロ。 矢筒の事は気にするな。お前に何も無ければ良い。 淡々とした口調ではあるが、その表情は何処か寂しげにも見える。 |
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あ、ぁああ……! 男の声が聞こえているのかいないのか、少女は尚もうめき声をあげながら 震える身体を自分で抱きしめる様にうずくまっている。 |
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程なくして近くまで来た女は男に並ぶように少女の傍にしゃがみ込む。 大丈夫ですかサマロ! 久々だったからびっくりしますよね! もう大丈夫ですよ! あっ、というか私が先に帰っちゃったせい……? 女は何か思い当たる節があったのか焦りの表情を浮かべ小さく呟くと 少女の肩に手をまわし背中をさすり始めた。 え、えっと。後で話聞きますから まずは落ち着くまでゆっくり泣きましょうね! |
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女が来ると同時に頭から手をのけた男は 相手が背中をさするのを見ると立ち上がる。 暴発したのは俺のせいだ。 矢を片づけてくる。頼んだぞ。 そう言うと、返事を待つ事も無く天幕へと身を翻す。 |
| ツヅキカイテナイ | |